私は以前東京の病院で内科外科混合病棟で4年間勤務していました。
超急性期病院と言われるだけあって毎日新しい患者さんが運び込まれ、手術も毎日4.5件、治療、検査と怒涛の毎日を過ごしていたように思います。

そんな中コロナ禍となり、受け入れ病院となった私の病院では慣れない中病院一体となって対応せざるをえなくなり、さらに忙しくなりました。
患者さんと関わる時間も減りなかなか自分の思うような看護を行うことができませんでした。

また休日も外出自粛を徹底しなければならず、うまくリフレッシュすることができませんでした。
もやもやしつつも仕方ないことだと自分に言い聞かせて働いていましたが、たまたま同期の子から「結の島ナース」という働き方があることを聞きました。
離島の看護をイメージした時、ゆっくりした時間が流れる中、患者さんに時間をかけて丁寧に関われる様子が浮かび、次の日には東京の病院を辞める事を決断、4月から奄美大島に移住していました。

瀬戸内徳洲会病院は瀬戸内町だけでなく、請島・与路島・加計呂麻島からも患者さんが運ばれ、様々な疾患の方を受け入れているため想像していた以上に忙しいと感じることが多いです。
しかし、地域医療の中心として頼りにされていると実感しやりがいを感じます。

患者さんと関わりながら1番に感じることは、患者さんやその家族が「島で暮らしたい。」という思いが強いということ。
離島では少ない医療資源の中で患者さんを治していく、または苦痛を最小限にして最後を迎えられるように看護をしていくということが求められます。

東京での経験から、本島の方に行けばもっと最新の医療が受けれるのに、治療方法もたくさんあるのにと歯痒い思いになることもありますが、患者さん自身が高度な治療で病気を治すよりも、住み慣れた島で暮らしていけるような治療やリハビリを受けたいという希望があり、それに沿った看護を行なっていくことが私の使命なのだと最近は考える様になりました。

それほど島の方々に深く愛されている奄美大島はどんな島なのだろうと最初は不思議に感じていましたが、実際に住んでみて、その素晴らしさに日々癒され、温かい気持ちになります。
勤務終わりにふらっと海に潜れること、夕日を眺めて1日の終わりを迎えられること、大自然に囲まれた奄美大島だからこそできるこの暮らしでは、ストレスを感じることが少なくなり、少しだけ私自身穏やかになれた気がします。笑

患者さんも穏やかでのんびりした方々が多く、患者さんと接する時間が仕事中の癒しです。
移住してみて今までは忙しすぎて気づけなかった、患者さんの爪が伸びていることに気付ける自分に嬉しくなります。

瀬戸内町は島の南部にあり、市街地からも離れていて、スーパーやコンビニ、飲食店もそれほど多いわけではなく決して便利と言える環境ではありません。
最初は不便だなと感じたこともありましたが、生活をする上で困ることはほとんどなく、無くても生活できる、本当に必要なものは多くないんだなと私生活でもさまざまな気づきがありました。

休日は朝から海に行き、夕方には夕日を見て、夜は星を見に行く。こんな生活を送れることに今は幸せしか感じません。
奄美大島の人、環境が大好きです。

離島ナースというと、想像もつかず最初は挑戦することに少し勇気がいるかもしれませんが、実際に来てみるとそんな不安はすぐに消えて、一度挑戦できたのだからまたできるといろんなことにチャレンジできるようになりました。
また忙しさに追われ自分の向き合う時間がほとんどなかった私にとって、奄美大島の自然に囲まれることでゆっくりと自分と向き合う時間が増えました。

色んな気づきや自分と向き合えた時間、これから自分はどうするべきかなど、人生で大切なことを考えさせてくれた奄美大島の人、自然に感謝し、これからも少しずつ私ができることで恩返ししていきたいと思っています。